西脇順三郎の詩を合唱<コール・ヴァフナ>
2012-06-02


知人からチケットを譲り受け、聴きに行きました。
 公演地の小千谷の詩人、西脇順三郎さんの詩を合唱にしたのが素晴らしかったです。

【アムバルワリア】
 作曲:千原英喜、指揮:河合良一

T ここに集まるすべての人に
 ここに集まるすべての人に恵みを与へよ。古より伝はる儀式として我等は我が穀物と野菜を清める。バックスよ、我へ来れ、汝の角からたれさがる甘い葡萄をもって、またセレースよ、汝のこめかみを麦の耳で飾れ。この神聖の日には、地も農夫も休ましめよ。すべてのものは神の式をあげよ。

U しかし昨夜愛の女神が
 しかし昨夜愛の女神が歓楽を与へた祭壇には近づくな。天は清浄を欲する。(着てくる)着物は清かるべく、手は泉の水にて浄めよ。見よ、神に捧げる羊は光る祭壇に歩き、その後の白い行列が歩き、彼等の頭髪は橄欖(カンラン)に飾られぬ。我先祖の神々よ、我等は野を清める、農民を清める、我等が領域から、あらゆる悪を追ひ給へ。実の少ない穀物をして収穫を侮辱せしめるな。

Hoson zes phainu meden holos sy lypu. Pros oligon esti to zen. to telos ho chronos apaitei.
訳)生きている間は、楽しくて嘆くことはない。
  人生は短く、時はその貢ぎものを要求してくるのだから。

                   「セイキロスの碑文」
                   古代ギリシア・前2世紀頃(後1世紀?)
V Nunc te, Bacche さあバックスよ
Nunc te, Bacche, canam, nec non silvestria tecum
virgulta et prolem tarde crescentis olivae.
Huc, pater o Lenaee -- tuis hic omnia plena
muneribus, tibi pampineo gravidus autumno
floret ager, spumat plrnis vindemina labris --
huc, pater o Lenaee, veni nudataque musto
tingue novo mecum direptis crura cothurnis.
訳)さて今度は、バックスよ、あなたを歌おう。あなたとともに、
森の若木と、ゆっくり生育するオリーヴの若枝も。
こちらへ、おお、父なるレナエウスよ。ここではすべてが、あなたの
恵みで満ちている。あなたのために、野は秋の葡萄の葉を満載して
光り輝き、取れた葡萄は桶いっぱいに泡立っている。
こちらへ来てください、おお、父なるレナエウスよ。編み上げ靴を脱いで、
私とともに、新しい葡萄汁に脛を浸してください。

      ププリウス・ヴェルギリウス(B.C.70〜B.C.19)
      「農耕詩 第二歌・冒頭」

W 我が祈祷はきかれた ― 序唱とミュゼット
 我が祈祷はきかれた。見よ、予言する羊の内蔵の具合を、神々は恵み深いことを知れ。くすむファレルヌスの葡萄酒を古い瓶から持ち来れ。キオスから来た瓶の紐を解け。ぶどう酒をして今日を祭らしめよ。酔ふことは恥にあらず。ふらつき、足どり悪いことも恥にあらず。メサヲのために祝杯をあげよ。発する各々の言葉には今日祝日に居ない人々の名も聞こえしめよ。―我れ田園を歌ふ。田園の神々を歌ふ。―田園の少年は春の花で小さい輪を作りラレルの神の頭に置く。労働につかれた農夫は田園の言葉をもって歌をつくり―。―愛<クピードウ>は野に生まれる。愛の喜びは乙女の心をさし、強きものをも地に伏さしむ。青春をして財宝をすてさしむ。老人をして恥づべき言葉を(怒れる女の戸口で)発せしめる。乙女をしてひそかに(手さぐりにて)夜の暗やみを歩かしめる。愛の少年<クピードウ>よ来れ。―我等は皆この愛の神を歌へ。

[音楽]

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